小暮博則の著名人対談 【♯1 玉井信一氏】 〜Choice道楽倶楽部〜

エージシュートを37回達成!

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小暮博則の著名人対談。第1回目はエージシュート37回を誇る偉大なプレーヤー、玉井信一氏にお話を聞くことができました。

玉井氏は福岡県で数十代も続く老舗醤油家の嫡男に生まれ、幼少期を地元で過ごされ、中学高校と野球、ピッチャーで甲子園を目指されました。

跡継ぎとして当然地元大学進学をするものと思うが、父の強い思いれで東京水産大学へ進学。卒業後、日本魚網へ入社。
営業時代、外回りを毎日行うも、一向に相手にされない日々が続く。2年間の修行と当初は考えていました。実家の「2年間はもどるな」との決まりもあり、野球で得た粘りで数年後に営業成績トップを収める。今でも、営業時代の寒い冬の日、冷たい弁当を一人で食べて過ごす日々が記憶にあり、いつもそれを胸に会社員として頑張ってこられたといいます。

2年以内でシングルプレーヤーに

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小暮 ゴルフはいつからお始めになったのでしょう。

玉井 ずっと興味があったのですが、新婚間もないころ、給料日に半分近いお金でクラブセットを購入しました。その残りを妻に渡していたのですが、いまとなると大変だったと思います。当時はそれだけ高価な買い物でしたが、そこまでしてもやりたかったのです。

小暮 すぐに上手くなりましたか?

玉井 当時会社の社宅にて、庭に線を引き、毎朝9番アイアンでターフをとる練習を行いました。綺麗に当たるまで、毎日毎日練習しました。9番アイアンの刻印が消えるには、1年もかからなかった。野球で培った勘のおかげもあり、2年以内にはシングルになりましたよ。

記憶力は抜群

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玉井氏の話を聞いて、感じたのは、先ずは記憶力、日本カントリーでのコースレコードをお持ちでいらっしゃる玉井氏は、初めて訪れたグリーンの傾斜、切れ方を殆んど覚えてしまう。同時に、上手な方のスウィングを観察して、軸ブレしないスウィングの特徴を自分の物にしてしまう。

プロゴルファーも2種類います。先天的に身体能力が高い選手と、記憶力、観察力、集中力がある選手です。野球で鍛えた身体と、観察力はゴルフ上達の要素を十分に持たれていたと思います。

小暮 ゴルフとビジネス、共通することといったらどういったことでしょう?

玉井 お客様が求めているニーズを観察して初めて、自社製品を進めることができます。
ゴルフに於いても、芝目、風向き、グリーンの傾斜や硬さを見る事が、一流ゴルファーです。彼らの共通点は観察力が優れていると言えます。同伴者のボールの飛び方、グリーン上での跳ね方、カップ付近の切れ方まで観察し、自らの参考にします。

小暮 ほかに思い当たることはありますか?

玉井 入社6年目を迎えたころに、転勤地の山口から東京へ戻ることになりまして、醤油問屋を継ぐのか迷いましたが、時代の流を感じて、閉じることを決断しました。
今でも、当時の選択に胸が熱くなる時があります。父の想い、母の想いはいくばくであったか?

けれども、この決断が一切の甘えを排除し、さらなる原動力となりました。
決断と行動は、人生においても、ゴルフにおいても重要なことだと思います。決断して打ったショットは、ピンへ向かい、迷って打ったショットは大抵ミスショットとなります。

小暮 ではゴルフと関係なく、成功したポイントを上げるとしたらなんでしょう?

玉井 幼少のころから、醤油問屋の嫡男として、父の商売を見て過ごしてきました。
 当時5号を買いに来たお客様へ、サービスで柄杓一杯を配る姿を見て、「樽にはなんぼでもある、わざわざ来て下さるお客様が大切なんや」と言われました。その姿勢が焼きついていたのか、入社後、200万円で開発した機械もそのまま無償で貸し付けました。

そうすると、その良さを知ってもらったお客さんから、注文が入る、評判もつながる、と勝手に業績が拡大していったものです。2000万円で開発した機械でさえも同じようにやりました。

まさに、幼少期の過ごした家庭環境が、営業としての活躍の下地にあったようです。

小暮 ゴルフをしていて社会的に役立ったことは?

玉井 これは役に立つことしかなかったですね。人脈を広げるうえでも、大変役立ちました。課長時代に社長と同席させてもらい、関係会社のパーティーに招待され、新しい情報もいち早く知ることができました。

しかし、社長に就任してからは、あまりゴルフが上手いことが知られないように注意していました。ゴルフが好きで上手いのは良いですが、ゴルフばっかりして、仕事してないと思われるのは、避けたかったです(笑)

玉井氏のスウィング

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秘訣は右肘をスイング中、身体から離さないことだそうです。

インパクトにかけて、左サイドへ踏み込み、右足を左へ引き寄せて行きます。
左サイドは開かず、右サイドは体の近くを通過し、力強くインパクトを迎えます。
方向性と飛距離が得られる打ち方でした。

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対談後記

エージシュート37回も驚愕ですし、セントアンドリュースのオールドコースのメンバーであり、オーガスタナショナルでもプレーされたことがある玉井氏から、貴重なお話を授かり、この場をかりて感謝申し上げます。

とかく、強いゴルファーは自己中心的でなければならないとの風潮がありますが、経営者としての手腕を発揮される方のゴルフは、大分違っていました。

「自分が好きだから、自分が上手いからではなく、どのように見られるか、映るか?」のほうが大切である。その根底には、客観視できる観察眼があると感じました。お客様のニーズを知ることも、時代の流を感じることも、ゴルフが上手で話題に上ることを避けることも、全て客観視できるからです。

通常は、天狗になってそれ以上、賛同を得ることが出来ません。「いまでも醤油麹に手を入れて温度を知る記憶が思い出される」と仰っていた話が、印象的でした。客観視と記憶力、私の心の一ページに強く刻む大切な言葉を頂きました。

小暮博則

1972年11月27日生まれ。埼玉県 出身。スタック&チルト公認インストラクター。PGA ティーチングプロ。PFGA赤坂ゴルフスタジオ代表。2013年より東京慈恵会医科大学ゴルフ部コーチも努めている。

玉井信一

ニチモウ株式会社・元会長。現役時代はそのフットワークとアイデア力で日本の漁業発展に大きな実績を残す。エージシュート37回日本カントリーのコースレコード保持者でもある

取材協力/カルバンクライン